羽村市 八王子市 入間市 青梅市の産科・婦人科・内科なら羽村ひまわりクリニック|婦人科

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婦人科

月経トラブルについて

月経不順、月経痛(月経困難症)、不正出血などの月経トラブルの診療をいたしております。こうした疾患・症状にお悩みの方はご相談ください。

月経不順

正常な月経周期は25~38日くらいです。常に一定の人もいれば、多少ずれる人もいますが、範囲内に収まっていれば、問題ありません。月経不順の多くは、ストレスを受けて自律神経が乱れ、ホルモン分泌に影響が出るために起こります。また、体調が悪い場合も、ホルモン分泌に影響が出ます。

月経不順のいろいろ

月経不順には、下記のように、いろいろなタイプがあります。

  • 稀発月経
  • 頻発月経
  • 過長月経と過多月経
  • 過少月経と過短月経
  • プレ更年期の月経不順
生活を見直す

月経不順になったら、まず自身の生活をきちんと見つめ直すことが大切です。1日3回栄養バランスのとれた食事を摂って、十分な睡眠をとり、適度な運動も心がけましょう。また、月経不順の大きな敵であるストレスと上手につき合うことも大切です。
月経不順が続くようなら、婦人科を受診しましょう。

婦人科には基礎体温表を持参

月経不順で婦人科を受診する際には、「基礎体温表」の持参をお勧めします。専門医が基礎体温の変化を見れば、どの時期にどのホルモンが不足しているのかを、ある程度推測することができ、参考になるからです。

月経痛(月経困難症)

月経痛が強く、日常生活に支障を来たすケースを「月経困難症」と言い、腹痛、腰痛、悪心(気持ちが悪くなる)、嘔吐、ふらつき、頭痛、頭重、食欲不振などの症状がよく見られます。
なお、思春期頃の女性の子宮は未熟なので、子宮の出口が狭いために月経血が排出されにくく、そのせいで月経痛を招きがちです。症状の種類や程度は人それぞれに異なりますが、こうした月経痛の多くは、市販の鎮痛剤を服用する程度で落ち着くものです。しかし、毎回学校や仕事に行くのもつらい、起きていられずに寝込んでしまうなど、日常生活に支障が出るようなケースは「月経困難症」と呼ばれ、治療の対象になります。

月経困難症の種類

月経困難症には、下記のように2種類があります。
月経痛がどちらによるものなのかは、簡単に診断することができます。

特に病気ではなく、誰にも起こり得る月経困難症

毎月の排卵周期のなかで、2種類の女性ホルモン、すなわち卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されますが、特に黄体ホルモンは子宮内膜に作用してプロスタグランジンという痛み物質を増加させます。このプロスタグランジンが子宮を収縮させたり、腹痛や腰痛、悪心を起こしたりします。これを「機能性月経困難症」と言います。

子宮内膜症などの異常による月経困難症

子宮内膜症は年々増加傾向にあり、20代前半からよく見られます。こうした病気は、月経困難症の原因となります。これを「器質性月経困難症」と言います。

月経困難症の治療

月経痛を治療するにはまず、その月経痛が機能性月経困難症なのか、それとも子宮内膜症など、子宮や卵巣における器質性の異常によるものなのかを判断します。その上で機能性月経困難症と診断されたら、下記のような治療法がとられます。器質性月経困難症の場合は、その原因となっている疾患の治療を行います。

生活上の工夫

骨盤の血流を改善するために適度な運動が効果的です。軽いジョギング、ウォーキング、全身の屈伸運動などがお勧めです。

痛み止め(鎮痛剤)の服用

我慢できないほどの痛みが生じてから服用するより、早めに、あるいは痛みが始まる前に服用して、上手に月経痛を回避してください。

ピルの服用

ピルの服用により、今まで鎮痛剤を服用しなければ過ごせなかったような人も、そのほとんどが鎮痛剤を必要としなくなります。

不正出血

月経以外に、性器からの出血がみられる症状を不正出血と言います。
不正出血には二つの原因があり、一つはホルモン異常による出血で、もう一つの原因は、子宮や腟に出血の原因がある場合です。

ホルモン異常による出血

ホルモンバランスがくずれ、排卵していなかったり(無排卵性出血)、排卵するのに時間がかかってしまったりする場合(遅延排卵)など、排卵に異常があると、よくこのような出血が起こります。こうした出血の特徴は出血量が通常の月経より少なかったり、逆に多量の出血がぐずぐずと長い日数(10日以上)続いたりすることです。これを機能性出血と言います。このような場合は、ホルモン剤で出血を止め、排卵を再開させる根本的な治療が必要です。

子宮や腟に出血の原因がある場合

子宮にポリープ、子宮筋腫、クラミジアによる炎症、子宮がんなどがあると、しばしば不正出血の原因になることがあります。これを器質性(臓器・組織の形態的な異状による)出血と言います。このような出血は、いつもの月経以外に、不正出血が頻繁に起こります。止血には、出血の原因となっている疾患をきちんと治療する必要があります。

不正出血を繰り返すようなら受診

上記のように、不正出血には2つの原因がありますが、これらの出血が、そのどちらか、そして治療した方が良いかどうかなどは、実際に診察してみなければわかりません。逆に診察さえすれば、大体はすぐに診断がつき、また、通常は治療も困難なものではありません。月経以外の不正出血を繰り返すような場合は、億劫がらずに受診なさることをお勧めいたします。

おりものについて

おりものの役目

おりものとは、「女性生殖器から体外へ排出された分泌物」のことです。おりものは生理現象の一つであり、女性ホルモンが正常に働いている証拠です。 通常、おりものには子宮内膜や頸管粘膜からの分泌液と、卵巣や外性器の粘膜面から剥がれ落ちた細胞が含まれています。また、白血球やその他の免疫細胞や免疫抗体が含まれ、病原微生物から性器を守っています。さらに、腟の酸性度を高める乳酸桿菌(デーデルライン桿菌)という善玉菌も存在し、有害な病原微生物の増殖を防ぎます。 したがって、おりものは単なる排泄物ではなく、腟や子宮、卵巣などを病原体から守ってくれているのです。ですので、過剰に腟洗浄を行うと、このような自浄作用を乱し、炎症を起こす元になりますので、注意しましょう。

おりものからわかる病気

おりものは生理的なものがほとんどなので、量や色、においに神経質になる必要はありません。とは言え、まったく気にしないのも、異常サインを見逃すことになります。 正常なおりものは、無臭で透明に近い乳白色です(下着に付くと、薄い黄褐色に変化することもあります)。量は排卵期に増え、月経前までに次第に減少します。性的興奮でも、腟内の自浄作用が一時的に高まるため、増加します。 おりものに異常があると、色や量、におい、性状などに変化が起こります。通常とは違ったおりものが見られたら、早めにご相談ください。

こんなおりものはご相談ください

  • 量の多いおりものが続く
  • 膿のようだったり、おりものの状態(におい、色など)が異常である
  • おりものに、生理の時のような血が混じっている
  • 外陰部に痒みや熱感、ただれ感、痛み、悪臭がある

尿漏れについて

尿漏れには、腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の2つのタイプがあります。
尿漏れでお悩みの方は、恥ずかしがらずに受診なさってください。

腹圧性尿失禁

女性の正常な体では、お腹に強い力(腹圧)がかかった場合、「骨盤底筋(こつばんていきん)」という筋肉が、膀胱と尿道を支えることで尿道が締まり、尿が漏れるのを防いでいます。腹圧性尿失禁では、この骨盤底筋が弱くなったり傷んだりすることによって、尿道をうまく締められなくなり、尿漏れを起こす病気です(そもそも女性の尿道が3~4センチと短い上に、真っすぐな形状であることも影響しています)。
せきをする、くしゃみをする、笑う、走る、テニスやゴルフなどのスポーツをする、重い物を持ち上げる、坂道や階段を昇り降りする――このような強い腹圧がかかるような動作をした時、尿が漏れてしまいます。問診や検査によって診断し、パッドテストやストレス・テストを行うこともあります。40歳以上の女性の4割以上が経験していると言われます。

腹圧性尿失禁の治療

腹圧性尿失禁の治療の中心は、「骨盤底筋体操」です。緩んでしまった骨盤底筋を鍛えて、臓器が下がるのを防ぎ、尿道や肛門を締める力やコントロールする力をつけることで、尿漏れを防ぐ方法です。軽症例に有効です。
薬による治療では、尿道を引き締める働きがある薬(β受容体刺激薬)などを用います。薬物療法以外の保存的治療には、電気刺激療法(干渉低周波療法)や磁気刺激療法があります。
保存的治療にうまく反応しない場合には、手術療法を検討します。

切迫性尿失禁

「トイレに行きたい」と思っても、間に合わずに漏らしてしまうタイプを切迫性尿失禁と言います。
トイレのドアノブに手をかけた途端、またトイレで下着をおろしている時などに漏れてしまいます。

切迫性尿失禁の原因

過活動膀胱といって、膀胱が過敏になっている状態が切迫性尿失禁の原因です。
過活動膀胱は「急に我慢できないような尿意が起こる」「トイレが近い」「急にトイレに行きたくなり、我慢ができずに尿が漏れてしまうことがある」などの症状を呈する病気です。

過活動膀胱の検査と治療

医療機関を受診して、一般に初診の際に行われるのは問診です。
問診以外には、膀胱の状態を調べるための検査を行うこともあります。排尿に関連した症状があるからと言って、必ずしも過活動膀胱とは限りません。他の病気の可能性も含めて確認するための検査です。
初診で行う検査は、主に、腹部エコー検査(残尿量の測定)、血液検査、尿検査などです。これらは比較的簡単な内容です。過活動膀胱の検査にはほかに、尿流測定、パッドテスト、ストレス・テストなどがあります。b 治療には、膀胱の収縮を抑える働きのある薬や、膀胱に尿をためる容積を増やす薬による治療、および薬を使わない治療、すなわち膀胱訓練(トイレに行く間隔を延ばして、膀胱の容量を増やす訓練)や骨盤底筋体操(尿道を締める骨盤底筋の収縮力を高める訓練)などがあります。

膀胱炎について

膀胱炎

女性に多い病気で、男性に起こるのは稀です。年齢を問わずかかりますが、若い方に多く見られます。女性の外陰部にいる細菌が尿道から入って膀胱粘膜に付着、繁殖して起こります。
通常は菌が入っても、膀胱の感染防御機構が働いて膀胱炎にはなりませんが、次のような要因が重なると、膀胱炎になることがあります。

  • ストレス
  • 疲労
  • 冷え
  • 体調不良(風邪をひいた後など)
  • 尿を我慢し過ぎた
  • 1日の尿量が少ない
  • 不潔な性行為 など

膀胱炎の症状

症状としては排尿痛、排尿時違和感、頻尿、残尿感、下腹部痛(違和感、鈍痛、張った感じなど)、血尿、混濁尿(白く濁っている)、尿臭が強い、などがあります。

膀胱炎の検査と治療

検査は、尿検査と尿の細菌培養検査*で診断します。トイレで紙コップに尿を採って来ていただき、それを顕微鏡で見て白血球(炎症細胞)が増えていれば膀胱炎と診断します。結果は、すぐに出ます。
治療は、抗生剤を3~5日間、内服します。通常1~2日間で症状は良くなり、3~5日間の治療で治癒します。

*尿の細菌培養検査
原因菌の種類、およびその細菌にどんな薬剤が有効かを調べます。
細菌の種類としては、大腸の中にいる大腸菌、腸球菌や、皮膚・粘膜にいるブドウ球菌、連鎖球菌などがよく見られます。クラミジア(性感染症)のこともあり、「クラミジア膀胱炎」が疑わしいときは、尿中クラミジアのDNA検査をします。

避妊相談について

当院では、避妊、および緊急避妊のご相談に応じ、そのための「ピル処方」をいたします。

低用量ピル(OC)

低用量ピルの効果

低用量ピルの避妊効果はほぼ100パーセントで、しかもとても安全です。 以前、低用量ピルの服用により、乳がんが増える可能性が指摘されていましたが、現在は否定されています。 それどころか、卵巣がんや子宮体がん、大腸がんのリスクを減少させる作用が知られています。さらには月経困難症、過多月経、子宮内膜症*1、不規則な月経周期などに対する治療効果も認められています。また、将来の妊娠に悪影響を及ぼすこともありません。よく耳にする体重増加に関する懸念も不要です。 ただし、まったく副作用が無いわけではありません。一番懸念されるのは血栓症*2のリスクです。しかし、当院では服用禁忌(服用してはいけない条件)に触れないかどうかをよく考慮しながら、慎重に処方しておりますので、ご安心ください。

*1:子宮内膜症:子宮の内膜が、子宮以外の場所で増殖した状態。
*2:血栓症:血管内にできた血のかたまり(血栓)が突然、血管に詰まる疾患。

アフターピル(緊急避妊薬)

避妊をしないでセックスしてしまったとか、コンドームが破けるなど避妊の失敗が起こった、といった場合に、妊娠を防止する方法として“緊急避妊”があります。
その最も一般的な方法が、「アフターピル(緊急避妊薬)」と呼ばれる避妊薬の服用です。
アフターピルとは、黄体ホルモン(レボノルゲストレル)を成分とした薬剤です。
無防備なセックスが行われた後、72時間以内に、しかもできるだけ速やかに所要量のピルを服用します。
どうして緊急に避妊ができるのかについてですが、患者様の月経周期のどの時期に、アフターピルが服用されたかによって、作用の仕方は異なってきます。
例えば排卵を抑制する、受精を妨げるなどが挙げられます。
妊娠の成立とは、受精卵が子宮内膜に着床することを言うのですから、いったん着床してしまい、妊娠が成立してからでは、アフターピルは無効になります。
そのためアフターピルの服用時期について繰り返しますが、無防備なセックスが行われた72時間以内(3日以内)に服用しなければならないのです。

アフターピルの効果

アフターピルが妊娠を防止するとは言っても、100%というわけにはいきません。
正しく服用した場合でも、約2%に妊娠を防止できない場合があると言われます。
仮に、アフターピルが頻繁に使用されたとしても、低用量ピルを避妊目的で継続的に使用している女性に比べれば、妊娠率はかなり高くなってしまいます。
したがって、この方法は低用量ピルの代用とはなり得ないとご理解ください。
また、アフターピルが本当に効いたかどうかは、服用後すぐにはわかりません。数日ないし数週間後に月経が来て、初めてわかるのです。
もし、予定月経が一週間以上遅れたり、心配なことが出てきたりしましたら、早めにご相談ください。

アフターピルの安全性

アフターピルの安全性についてですが、世界中では、1970年代半ばから使用されて来ており、半世紀近い歴史があって、その安全性は確立されています。
ただし、低用量ピルと同様に、アフターピルについてもやはり服用してはいけない人や、慎重を要する人がいますので、少しでも不安な方は、遠慮無くお尋ねください。
また、アフターピルの副作用に関してですが、一時的に少し気持ち悪くなったりする程度の軽いものです。
なお、アフターピルを服用しても効果が無く、妊娠してしまったケースについてですが、今まで知られている限りでは、異常妊娠であったり、赤ちゃんに異常が出たりといった報告はありません。

性感染症について

性感染症とは

性感染症とは性行為を介して感染していく病気で、STDとも言われます。
ひとくちに性感染症と言っても、いろいろな病気があります。
以下に、その主なものについて説明します。

クラミジア感染症

病原体はクラミジアトラコマティスで、性行為における粘膜同士の接触によって感染します。潜伏期間は、1~3週間です。症状としては、男性では排尿時痛や尿道掻痒感が生じますが、女性では症状が軽く、無症状なことも少なくありません。
診断は性器や尿道からの分泌物や尿、口腔内からの抗原検出や核酸検査(PCR)で行います。治療には抗菌薬(マクロライド系、ニューキノロン系が中心)を使います。放置すると不妊、流産・死産の原因になることがあります。

性器ヘルペス感染症

病原体はヘルペスウイルスで、性行為による皮膚・粘膜病変部との接触によって感染します。潜伏期間は2~10日です。症状としては、性器の痒み、不快感の後、水泡、びらんが生じます。診断は病変部からのウイルス分離、抗原検出や核酸検査(PCR)で行います。
治療には、抗ヘルペスウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビルなど)を使います。

梅毒

病原体は梅毒トレポネーマで、性行為による皮膚・粘膜病変部との接触により感染します。潜伏期間は、約3週間です。症状としては、感染部位(性器、口など)に赤色の硬いしこりやただれができ、近くのリンパ節が腫れます(第1期)。
その後、3~12週間くらいの間に、発熱、全身倦怠感などの全身症状とともに、皮膚に様々なタイプの発疹が現れ(第2期)、さらに10~30年の間に心臓や血管、脳が冒されます(第3、4期)。
診断は、病変部の病原体を確認(顕微鏡観察)するか、または血液による抗体検査で行います。
治療には抗菌薬(主としてペニシリン系)を使います。放置すると第1期から2期、3・4期へと、徐々に進展します。精神異常をきたしたり、死に至ったりすることもあるほか、母体の感染により、出生児が先天梅毒になることがあります。

淋病

病原体は淋菌で、性行為による粘膜接触で感染します。潜伏期間は2~7日です。症状としては、女性ではおりものや不正出血が見られるか、あるいは症状が軽く、気づかないことも少なくありません。
診断は性器、尿道からの分泌物や口腔などからの病原体分離培養、あるいは核酸検査(PCR)で行います。
治療には抗菌薬を使いますが、各種の抗菌薬に対して耐性率が高くなっています。放置すると不妊の原因になることがあるほか、感染した母体から出産した新生児が淋菌性結膜炎になることがあります。

尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマは、性器に発生する一種の「いぼ」です。病原体はヒトパピローマウイルス(6型、11型が多い。子宮頸がんを発症しやすいのは16型、18型)で、主に性行為による皮膚・粘膜病変部との接触で感染します。潜伏期間は3週間~8ヶ月(平均約3ヶ月)です。このウイルスに感染していても、症状が出ないことが多いのも知られています。
症状としては、腟入口部、大・小陰唇、会陰、肛門などに、先のとがった鶏冠様の腫瘤が生じます。子宮の入口や腟壁にできることもあります。痛みなどはほとんど無く、せいぜい痒みや軽い異物感程度のものです。
診断は、コンジローマが独特な形態をしているため、病変部を観察すれば、ほとんどの場合、それだけで診断がつきます。子宮の入口にできたものについては、組織を採取して、病理組織学的に診断することもあります。
治療は、「ベセルナクリーム5%」という塗り薬の塗布、液体窒素を用いた凍結療法、電気メスや炭酸ガスレーザーなどによる切除を行います。
塗り薬による治療では、週に3回、就寝時に塗り、翌朝洗い落とします。治癒するまでに時間がかかりますが、自宅で治療を行えるメリットがあります。

ケジラミ症

病原体はケジラミです。性的接触による陰股部、陰毛との直接接触による感染が多いのですが、衣類・寝具などを介する間接的感染もあります。潜伏期は不定ですが、1~2ヶ月が多いようです。症状としては寄生部位(主に陰股部)の強い痒みです。
診断は、皮膚・陰部・毛髪などの虫体や卵の確認で行います。
治療は剃毛するか、フェノトリン(スミスリン)パウダーあるいはシャンプーを用いて行います。

性感染症が疑われる症状

次のような症状がある場合は、性感染症が疑われますので、早めにご相談ください。

  • おりものの量が増えた
  • 性器の痒みがある
  • 性器のにおいが気になる
  • 外陰部に痛みがある など

更年期障害について

更年期障害とは

女性は30代後半から女性ホルモン(エストロゲン)の量が次第に減少してきます。
そして、平均して50歳前後で閉経を迎えますが、その前後の45~55歳までを一般に更年期と呼んでいます(この年齢には、個人差があります)。
更年期は急激に女性ホルモンが減少するため、体がその減少の変化についていけず、様々な変調をきたしがちです。
特に、自律神経失調症状が多く、いわゆる“不定愁訴”がよく現れます。
自覚症状には個人差があり、日常生活に差し障る症状が出た場合を一般に更年期障害と呼んでいます。
更年期には、障害の程度が極めて強く出る人から全く無い人まで、様々です。

更年期障害の症状

更年期障害では、よく月経異常やのぼせ、ほてり、不安などの症状が引き起こされます。また、肌や髪のつやが無くなったり、性器の萎縮が起こってきたりします。潤いも少なくなり、性交時に痛みを感じるようになる人もいます。そのため、夫との性交渉がうまくいかなくなり、悩んでしまうケースも多いようです。
また、更年期にうつ症状を呈する人が、たくさんおられます。
更年期うつに隠れて、あるいはそれが引き金となり、本物のうつ病が発症することもあります。
一方、更年期には様々な不定愁訴が現れるため、別の病気が隠れていても、更年期のせいだろうと決めつけ、本来の病気を見逃してしまうことがあります。うつ病、心臓病、がん、糖尿病といった病気が隠れている可能性もありますので、まずは早めにご相談なさるよう、お勧めいたします。

更年期障害の検査・治療

諸症状、および血中の女性ホルモン量を調べる検査で診断を行います。
また、更年期障害の治療では、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)を投与するホルモン補充療法(HRT)が一般的な治療法ですが、ホルモン療法以外にも、漢方薬などで症状を軽減することもできます。

更年期障害の漢方治療

ホルモンバランスをとる作用のある漢方薬の当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、加味逍遥散(かみしょうようさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)(以上は“三大婦人役”と呼ばれます)などが主に処方されます。
当帰芍薬散は、冷えや貧血症状の強い方に、加味逍遙散は精神症状が強い方に処方されます。また、のぼせ症状が強いようなら桂枝茯苓丸が効果的です。
うつ気分、神経過敏、めまいなどの精神症状にはホルモン補充療法よりも、むしろ漢方薬が有効なことがあります。
また、ホルモン補充療法が使えない患者さんに漢方を処方することもあります。

不妊相談について

「不妊症」とは、なんらかの治療をしないと、それ以降自然に妊娠する可能性がほとんど無い状態を言います。世界保健機構(WHO)では、不妊症を「1年間の不妊期間を持つもの」と定義しています。
不妊症に対する治療法はいくつもあり、その原因によって、内容も変わってきます。
ここでは、代表的な治療法をご紹介いたします。

タイミング法

基礎体温表や超音波検査で排卵日を予測し、排卵日前後に夫婦生活を持つことによって妊娠を目指す治療法です。不妊治療と言うと、人工授精や体外受精などの高度な方法を思い浮かべがちですが、実はこの「タイミング法」こそが、最も多く行われているのです。タイミング法は、不妊検査で目立った原因が無い場合に行われます。

タイミング法の実際
  1. 超音波検査(エコー)で、卵胞の大きさを計測し、排卵日を予測します。排卵予測日の2~3日前にご来院ください。
    目安としては、月経が28~30日周期の場合、月経開始後12~14日頃になります。排卵予測日は、一番大きな卵胞(主席卵胞)が20mmを超えると思われる日になります。
  2. 排卵予測日に性交をします。
  3. 予定月経日になっても月経が訪れず、さらに7~10日過ぎるようであれば、妊娠反応が無いかどうかを確認します。残念ながら月経が来てしまった場合は、再度タイミングをみていくことになります。
タイミング法による治療期間の目安

半年~1年くらいです。ご希望により2~3ヶ月であったり、1年半であったりします。ただし、不妊期間、年齢、性交回数、他院での治療経過、夫婦のご希望により、期間には差が生じてきます。

人工授精(AIH)

人工授精とは、洗浄した精子を子宮の中に送り込む治療法です。
タイミング法との相違点は、精子が腟に入るか、子宮に入るかというところです。精子が女性の体内に進入するプロセスは通常の性行為とは異なりますが、その後の受精と着床については、自然な経過で妊娠が成立することを期待します。
AIHは、不妊検査で精子の数が少ない、精子の運動率が低いなど、精子に問題があると認められた場合や、頸管粘液が少ないなど女性側に問題がある場合、さらにフーナーテスト*で、精子が子宮に入っていない懸念がある場合などに行われます。

*フーナーテスト
排卵日の深夜または早朝に夫婦生活をして翌日の朝一番で受診していただき、頸管粘液中に運動している精子がいるかどうかを調べる検査です。粘液中に精子が確認できなければ無精子症や抗精子抗体、子宮頸管炎などが疑われることもあります。
フーナーテストの結果が不良の方は、子宮の中に精子を直接注入する不妊治療(人工授精)が有効です。反対にフーナーテストが良好であれば、人工授精はあまり有効とは言えませんので、体外受精を検討したほうが良いと考えられます。

体外受精(IVF)

体外受精とは、排卵近くまで発育した卵子を体外に取り出し(採卵)、精子と接触させ(媒精)、受精し、分割した卵を子宮内に戻す不妊治療のことです。
IVFの実施には、一般的に以下のような基準が設けられています。

  • 両方の卵管が閉塞している。
  • 夫の精子数・運動率が低い(総運動精子100万個以下)。
  • 子宮内膜症を患っており、薬物療法、手術などを行っても、あまり効果が無い。
  • 原因不明の不妊など、不妊期間が3年以上で積極的に治療(タイミング法やAIHなど)をしても妊娠しない(抗精子抗体を含む)、など。

顕微受精

体外受精でも妊娠に至らない場合、体外受精のさらなるステップアップとして、また重度の精子減少症や乏精子症などの場合に勧められるのが、この顕微授精です。通常の体外受精を行っても受精しなかったり、受精しないと判断されたりする夫婦が対象となります。顕微鏡下で、注入用の針(インジェクションピペット)に1匹の精子を尾部の方から吸引して、卵子の細胞質内に刺し、卵子の中に直接、精子を注入します。

胚凍結法

体外受精でも顕微授精でも採卵に先立ち、複数個の卵の発育を促す卵巣刺激法を行います。これにより多くの採卵が可能となり、複数個の受精卵が得られるようになりました。
最近では多胎妊娠を避けるために、移植される胚(受精卵)は通常1個、多くても2個までに制限されています。その結果、当然、胚が余ります(余剰胚)。
こうした「余剰胚」を凍結保存しておけば、その周期に妊娠しなかった場合、後の周期に移植することができます。
ただし、胚の破砕化が著しい場合や、質が良好でなく、凍結・融解した場合に変性すると考えられる場合は、ご相談の上、凍結を行わないケースもあります。

ブライダルチェックについて

妊娠や出産を考えている人が対象

ブライダルチェックとは、結婚前はもちろん、妊娠や出産を控えたすべての女性を対象とした婦人科系検診です。
初期症状に気づきにくい婦人科系トラブルの早期発見がメリットです。
「ブライダル」という名称がついているため、よく結婚式前にすべき検査だと思われがちなのですが、結婚してからも、もちろん検査を受けることができます。
ブライダルチェックの対象者は妊娠や出産を考えている人であり、年齢や結婚の有無も関係ありません。

ブライダルチェックの主な検査内容

問診

月経の周期や状態など、また既往症やアレルギー、感染症などについてお伺いします。ご自身で気になることがあれば、遠慮無くご質問ください。

内診

外陰部や腟内を視診します。
また、子宮や卵巣の状態を触診で調べます。

血液型(ABO、Rh)検査(血液検査)

血液型は間違って記憶している場合もありますから、きちんと調べておきましょう。手術時の輸血事故や血液型不適合による新生児溶血性疾患(母体の血液中の抗体が胎盤を通じて胎児に移行し、胎児の赤血球が破壊されることによって起こる病態)などを引き起こす危険もありますので、手術や妊娠前には欠かせない検査と言えます。

風疹抗体検査(血液検査)

風疹ウイルスに対する免疫の有無を調べる検査です。
妊娠初期に風疹にかかると、胎児に感染してしまう可能性があります。
心臓奇形や聴力障害、白内障、発達障害などの先天異常が起こることもあるため、赤ちゃんを望まれる方は、ぜひ一度検査を受けて確認しておきましょう。
特に昭和54年4月~昭和62年9月生まれの方は予防接種率が低いため、免疫の無い女性が多く、特に注意を要します。
また、子どもの頃にかかった記憶があっても、水ぼうそうの間違いだったというケースもあるので、気をつけましょう。
なお、免疫が無い場合にはワクチンを接種しますが、生ワクチンのため、約2ヶ月間の避妊が必要となります。

※母体の風疹により胎児奇形が生じる割合は、概ね4割と言われています。

梅毒検査(血液検査)

梅毒はトリポネーマ・パリーダムという微生物による性感染症です。
最近では、潜在的な感染者が増えていると言われます。
性交だけでなく、胎盤を通じて胎児に感染することもあるので、妊娠前には欠かせない検査です。

HBs抗原検査(血液検査)

B型肝炎ウイルスへの感染を調べる検査です。
日常生活に支障はありませんが、血液などから他人に感染させないよう、注意が必要です。
分娩時の母子感染を防ぐためにも、欠かせない検査と言えるでしょう。

HCV抗体検査(血液検査)

C型肝炎ウイルスへの感染の有無を調べる検査です。
日常生活に支障はありませんが、慢性肝炎を発症し、肝硬変から肝臓がんへと移行する可能性があります。
感染者は規則正しい生活を心がけるとともに、定期的な医学的管理を行うことが大切です。

HIV-1、2抗体検査(血液検査)

HIV(エイズウイルス)への感染の有無を調べる検査です。

クラミジア抗体検査(血液検査)

過去のクラミジア感染の有無を調べる検査です。
陽性であれば、知らないうちに卵管の狭窄や閉塞など、不妊の原因が存在している可能性があります。

クラミジア抗原検査(分泌物検査・尿検査)

クラミジアは、最近急増している性感染症です。この検査で、現在かかっているかどうか、他人に感染する可能性がある状態かどうかがわかります。
主に性交により感染しますが、知らないうちに感染していることもあります。
合併症を起こすと、子宮頸管炎や卵管炎を引き起こして、不妊症や異常妊娠の原因になることもありますので、注意が必要です。

超音波検査(子宮・卵巣)

子宮筋腫や子宮内膜症などの子宮の病気や卵巣の病気が無いか、また子宮や卵巣の発育状態や、妊娠が可能かどうか、などを調べます。

子宮がん検診について

子宮がん検診には、子宮頸がん、子宮体がん検診の二つがあります。
子宮がんについても定期的に検診を受け、早期発見・早期治療することが大切です。

子宮頸がん

子宮下部の子宮頸部と呼ばれる部分から発生します。子宮の入り口付近に発生することが多いので、観察や検査がしやすいため、発見されやすいがんです。
また、早期に発見すれば比較的治療しやすく、良い経過をたどりやすいがんです。しかし、進行すると治療が難しいことから、早期発見が極めて重要と言えます。
子宮頸がんの発生には、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が少なからず関連しています。HPVは、性交渉で感染すると言われるウイルスです。子宮頸がんの患者さんの90%以上からHPVが検出されることが知られています。
ただ、HPV感染そのものは稀ではなく、感染しても、多くの場合は無症状のうちに、このウイルスは排除されるようです。HPVが排除されずに感染が持続すると、一部に子宮頸がんの前がん病変や子宮頸がんが発生すると考えられています。
また、喫煙も、子宮頸がんの危険因子であることがわかっています。

子宮頸がんの症状

初期には、ほとんど症状がありません*。異形成といって、がん細胞になる前の状態を経てがん化することが知られており、がん細胞に進行する前に、正常でない細胞(異形細胞)の状態を“細胞診”という検査で見つけることができます。つまり、無症状の時点から、婦人科の診察や検診などで発見することが可能なのです。

*例外的に、性交時にわずかながら出血の見られることがあります。これは初期症状として重要ですので、もしも出血を見たような場合は、婦人科で診察を受けましょう。

子宮頸がんの検査方法

医療機関によって若干の違いはありますが、だいたい下記のような流れで行われます。所要時間は5分程度です。
まず、初潮年齢や生理の様子、妊娠・出産経験の有無、月経の状況、自覚症状の有無などについてお聞きします(問診)。
次に内診です。内診台に上がり、頸部の状態を目で見て確認(視診)し、腟鏡で子宮頸部の状態を観察します。内診では、子宮の形、大きさ、位置、表面の状態、炎症の有無などを確認します。
必要に応じて精密検査(コルポスコピー診*)で子宮頸部の状態を詳しく確認します。
続いて行うのが細胞診です。柔らかいヘラやブラシのようなものを腟に挿入し、子宮頸部の粘膜を軽くなでるようにしながら採取します(PAPテスト:子宮頸部の細胞を擦りとって行う顕微鏡検査)。稀に少量の出血を見ることがありますが、痛みは、ほとんどありません。
――以上で検査は終了です。細胞診の結果待ちを含めて、2週間ほどで結果がわかります。

*コルポスコピー診:子宮頸部を、コルポスコープ(腟拡大鏡)を用いて観察することにより、子宮頸部病変の程度と広がりを把握する検査。時に生検(病変部の一部を切り取って、顕微鏡などで調べる検査)を行う。

子宮体がん

子宮体がんは子宮内膜がんとも呼ばれるように、胎児を育てる子宮の内側にある、子宮内膜から発生するがんです。発生の仕方には、タイプ1とタイプ2の2つのタイプがあると言われています。
タイプ1の体がんは子宮内膜増殖症という前がん病変を伴い、徐々にがんができてきます。全体の約90%を占め、比較的若い40~50歳代に多いがんです。
タイプ2の体がんは正常な子宮内膜から一気にがんができるタイプで、高齢者に多いがんです。罹患率は女性人口10万人に対して約7.5人です。年々増加してきており、日本でも将来は欧米と同じように、頸がんよりも体がんが多くなると推測されています。
子宮体がんは、生活習慣の欧米化に伴い、増加しています。不妊症、出産経験の無い方、肥満、糖尿病、高血圧の方は危険群です。女性ホルモン(エストロゲン)が発症に関与しています。エストロゲン(卵胞ホルモン)は子宮内膜を増殖させますが、排卵後、黄体ホルモンが卵巣から分泌され、この増殖を止めています。月経不順や不妊症の場合、排卵回数が少ないため、エストロゲン優位の期間が長く、体がんの危険性は増します。未婚で妊娠出産経験が無い人もエストロゲン優位のライフサイクルとなり、体がんの危険性は高くなります。
肥満者では皮下脂肪の中にあるアロマターゼという酵素が働き、エストロゲンがつくられ、体がんのがん化に関与してきます。
また、更年期障害などのホルモン補充療法では、エストロゲンに黄体ホルモンを併用しないと、がんになる可能性がわずかながら高くなりますので、注意が必要です。

子宮体がんの症状

いちばん多い自覚症状は、不正出血です。
子宮頸がんに比べ、子宮体がんになる年代は比較的高いので、閉経後あるいは更年期での不正出血が見られた際には、要注意です。
閉経前であっても、月経不順、乳がんを患ったことがあるなどの場合は、やはり気をつけましょう。

子宮体がんの検査方法

直接、子宮の内部に細い棒状の器具を挿入して細胞を採取して検査する、子宮内膜細胞診が一般的です。疑わしいところがあれば、さらにさじ状の器具を使って組織を採取して診断します。
ただ、子宮体がんの患者さんは、比較的年齢が高めなので、子宮の中まで器具を挿入することが難しいケースもあります。このような場合は、超音波検査*で判断することもあります。子宮体がんになると、子宮内膜の厚みが増してくることが多いので、超音波検査は有用な検査の一つですが、初期のがんを検出できない可能性があります。
一方、細胞診が疑陽性か陽性の場合に、精密検査として組織診が行われます。キューレットという医療器具を子宮の奥に入れて内膜組織をかき取り、顕微鏡検査を行います。このため、人によっては痛みを伴うことがあり、また検査後に出血が1~数日続くことがあります。
通常は、外来で麻酔をかけずに行いますが、痛みが強い時や、細胞診でがんが疑われたものの、外来の組織診では異常が見られなかったような場合には、入院して麻酔下で子宮内膜の掻爬(かき取ること)を行う場合もあります。体に少々負担がかかりますが、精度が高く、子宮体がんの確定診断には外せない検査と言えます。

*超音波検査:体内に超音波を送り、はね返ってくる反射波(エコー)をとらえて画像化し、体内の情報を調べる検査法です。子宮がん検診では細長い超音波検査具(プローブ)を腟内に挿入し、子宮内や卵巣の様子を映像で至近距離から見ることができます。体への負担が少なく、婦人科では日常的に行われる検査です。