妊婦健診について
妊婦健診とは
妊婦健診は、お母さんと胎児の健康を守り、妊娠が順調かどうかをチェックするための健診です。
妊娠中は体にいろいろな変化が起こりますし、自覚症状が無く、一見順調に見えても、トラブルが隠れている可能性があります。
特に気がかりなことが無くても、少なくとも次のような間隔で妊婦健診を受けて、胎児の育ち具合やご自身の健康状態をチェック(血圧、尿など)しておきましょう。
健診日以外でも、出血や腹痛など「何かおかしい」と感じた時は、遠慮せずに、すぐに受診してください。
(1)妊娠23週(第6月末)まで:4週間に1回
(2)妊娠24週~35週(第7~9月末):2週間に 1回以上
(3)妊娠36週(第10月)以後、出産まで:毎週1回
妊婦健診で行われる検査
妊婦健診で行う検査は、どれも母体と胎児の健康を確かめるための、大事な内容ばかりです。
例えば血液型検査は、出産時の万一の大出血に備えるばかりではありません。
お母さんの血液型 が Rh(-)というタイプの場合、赤ちゃんに血液型不適合という状態が起こり、貧血や黄疸が強く出ることがあります。
こういったケースを防ぐためにも大切な検査です。
また、B型肝炎ウイルスの抗原検査は、お母さんがそのウイルスをもっていると、出産時に赤ちゃんに感染することがあるからです。
母体の感染がわかっていれば、母子感染を防ぐために、生後間も無い赤ちゃんに免疫グロブリンやワクチンを接種して、その感染を防ぎます。
具体的な妊婦健診の項目
(1)妊娠初期に行う検査
- 血液検査
(血液型;ABO式、Rh式/不規則抗体検査/貧血の有無/梅毒血清反応/B型肝炎ウイルス抗原検査/C型肝炎ウイルス抗体検査/風疹ウイルス抗体検査/HTLV-1抗体検査) - 子宮頸がん検査 など
*貧血検査は、初期・中期・末期に、それぞれ1回ずつ行います。
*HTLV-1抗体検査は中期以降でも構いません。
(2)定期妊婦健診で毎回行う検査
- 子宮底の長さ
- 腹囲の測定
- 胎児の大きさ、位置
- 胎児心音の確認
- 体重測定
- 血圧測定
- 尿検査(糖、たんぱく)
- むくみの有無 など
(3)妊娠中に行う検査
- 超音波検査(胎児の発育、胎盤の位置、羊水量、子宮頸管長など)
- 胎児・胎盤機能検査(NST*)
- 血糖値
- 血液凝固検査
- HIV抗体検査
- 性器クラミジア検査
- B群溶血性連鎖球菌検査 など
*NST:ノン・ストレス・テストの略。「ノン・ストレス」というのは、ストレスが無い、つまり子宮収縮の全く無い(お産が始まっていない)状態を指します。この時に胎児の心拍数を調べ、胎児の状態を評価する検査のことで、「胎児心拍数モニタリング」とも言います。
(4)妊娠中、必要に応じて行う検査
- 心電図
- 胸部エックス線撮影
- 肝機能/腎機能検査
- 骨盤エックス線検査
- 抗体検査 など
*以上のほかにも、必要な場合には随時、検査を実施いたします。
自然分娩について
自然分娩とは
妊婦さんの多くが「自然に産みたい」「自然分娩をしたい」と、自然分娩をご希望でしょう。
ただ、この“自然分娩”という言葉の定義はやや曖昧で、出産施設によっていろいろな使われ方をしています。
ここでは、「陣痛促進剤を用いた分娩、吸引分娩、鉗子(かんし)分娩などに見られるような医療行為が無く、経腟出産すること」、つまり医療行為の介入しない出産を自然分娩と考えることにします。
できるだけ自然分娩のご希望に沿います
当院では、不必要な介入をしない「自然分娩」を中心に考えていきます。
しかし、実際の出産場面では、予期せぬことが起きることが少なくありません。
お母さんの体と赤ちゃんの命を守るために、医療行為が必要と判断された場合には、ご説明し、ご納得いただいた上で医療処置も行いたいと思います。
適宜柔軟に対応させていただきますので、ご了承ください。
計画分娩について
計画分娩とは
医師と相談の上、事前に「出産予定日」を決めておき、分娩する方法です。
“立ち会い分娩”がしたいなど、様々な理由から、あらかじめ出産日を決めておいて産みたい場合や、体の健康状態などから、それが必要であると判断された場合に行われます。
予定日等の決定
正産期(分娩予定日の3週間前~)に入り、妊婦健診で医師と相談しながら出産予定日を決めます。
妊婦さんの希望を考慮するケースのほか、母体や胎児に緊急性があって医師が予定日を決めるケースがあります。
陣痛促進剤(人工的に子宮の収縮を強め、陣痛を促進・増強させる薬)の投与、バルーン挿入(バルーンを子宮口に挿入し、滅菌水を注入して膨らませることによって子宮口を広げる)、帝王切開(子宮切開によって赤ちゃんを取り出す)などの処置があります。
どのような流れと方法でお産を行うかについては、医師が事前にご説明いたします。
無痛分娩について
無痛分娩とは
無痛分娩とは、麻酔を用いて、陣痛や、会陰(えいん)が伸びる時の痛みをやわらげる出産法のことです。欧米ではごく一般的な出産方法となっていますが、わが国ではあまり普及していません。
日本では、昔から「産みの苦しみ」「お腹を痛めたわが子」といった表現に見られるように、出産の痛みを美徳としたり、痛みを耐えてこそ、自分の子どもへの愛情が生まれる、といった考え方があり、それが影響しているのでしょう。
しかし、出産時の痛みはかなり激しいもので、そうした母体への過度のストレスは、胎児に悪影響を及ぼすことが知られています。
当院では、希望者には硬膜外麻酔等による無痛分娩も行います。硬膜外麻酔は、手術の際の麻酔法として長きにわたり行われてきた方法であり、安全性が確立されています。また、産婦の血液中には麻酔液が入ることは無いので、赤ちゃんへの影響もほとんどありません。
無痛分娩をご希望の方は、お気軽にご相談ください。
無痛分娩はこんな妊婦さんにお勧めです
- 血圧の高い方
- 緊張しやすい方
- 痛みに弱い方
- 初産が難産だった方 など
帝王切開について
帝王切開について
出産にあたっては、いろいろな問題が生じることがあり、お母さんや赤ちゃんの安全のために、お腹を切って(子宮切開)赤ちゃんを取り出すことがあります。これが帝王切開です。様々な理由から帝王切開は選択されます。医師の説明をしっかりと聞き、よく理解するまで質問して、ご納得の上でお受けください。
なお、帝王切開には、予定日を前もって決めて行う「予定帝王切開」と、お産の経過中、母体や胎児の命にかかわる事態が生じたり、あるいは何らかの障害が起こったりすることが予想される場合に、早急に母児の生命を救うために行われる「緊急帝王切開」があります。
予定帝王切開
通常は36週までの健診結果をもとに、自然分娩が難しいと判断されると帝王切開が選択され、37~38週頃に手術が行われます。
予定帝王切開が行われる主なケース
- 逆子
- 児頭骨盤不均衡
- 子宮筋腫
- 前回帝王切開
- 高齢出産
- 多胎妊娠
- 前置胎盤 など
緊急帝王切開が行われる主なケース
- 胎児機能不全(胎児仮死)
- 常位胎盤早期剥離
- 微弱陣痛
- 遷延分娩
- 回旋異常 など
産後ケア
当院では、「産後ケア」として、退院後相談・1ヶ月健診・母乳相談などをそれぞれ行っております。お気軽にご相談ください。
退院後相談
出産・退院された後も、私たちはお母様方を応援しています。
出産後1ヶ月くらいは、お母様は精神的に不安定な時期にあります。
少しお話を聞いてもらいたいとき、誰かとお話がしたい時、ご心配なことや不安などがおありの時など、お気軽にご相談ください。
いつでも受け付けております。
1ヶ月健診
当院では、産後の「1ヶ月健診」を行っております。
1ヶ月健診には、赤ちゃんとお母様の健診が、それぞれあります。
産後の一つの大切な節目ですので、赤ちゃんとご自身のために、必ず受けるようにしましょう。
赤ちゃんの健診
赤ちゃんの健診では、体重、身長、頭囲、胸囲の測定、全身状態、反射などのチェックを行います。
赤ちゃんのご様子を確認するための問診も行いますので、心配なことがあれば、この問診時に質問してください。
お母様の健診
尿・血圧・血液検査、体重測定、子宮の状態を診る内診、悪露(分娩後の産褥期間に子宮から排出される分泌物)の量や状態のチェック、問診などを行います。
「産後トラブル」などがございましたら、問診時にご相談ください。
この健診で問題が無ければ、日常生活が再開できます。
母乳相談
母乳の中には免疫グロブリン(抗体)が含まれており、感染症に対する抵抗力がつけられるため、母乳は赤ちゃんにとって最高の食事です。
また、母乳育児は、お母さんの愛情を全身で感じることのできる素晴らしいものです。
当院ではスタッフが、お母さんと赤ちゃんが退院までに上手な吸い方と抱き方をマスターできるよう母乳育児のお手伝いをいたします。
また、卒乳の時期やトラブルのご相談もお受けいたします。
順調な母乳(授乳)育児ができるよう、いろいろな側面からサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。
授乳のポイント
- 赤ちゃんの抱き方
- 乳首の口への含ませ方
- 母乳の出し方
- 授乳のタイミング
- 授乳の間隔
- ふくませている時間
- ゲップの出させ方
- 乳首、乳房のマッサージの仕方
- 消毒の仕方 など
こんなご相談もお受けいたします
- 母乳が出ない
- 母乳が足りていない気がする
- 赤ちゃんがうまく吸ってくれない
- そろそろ卒乳したい
- おっぱいが痛い
- おっぱいが詰まっている
- おっぱいにしこりがある など